KZ1000A の修理その4

その5はこちら
 
 ”KZ1000A の修理その3”で、快調に乗れるようになった T君のKZ1000Aですが3,000km程乗ると少し白煙を噴くようになってきました。 「出かける前はオイルレベルを確認したほうがいいよ!」 と言っておいたのですが、新潟方面にツーリングに出た T君から 「レベルゲージにオイルが出て来ないッス!」 と電話がありました。

 どうやら、どんどんオイルを消費し始めたようです。 「どこか近所にホームセンターか何か無いの?」
「目の前にコメリが有ります」 「何でもいいから硬そうなオイル2〜3本買って足しながら静か〜に帰ってきな」 「解りました〜!」

 結局100kmで1Lほど消費する所まで状況が悪化して戻って来ました。 急にそんな事になるのもおかしいので、米国で売っている強力なオイル上がり防止剤でも入れられていたのでしょうね。

 入庫したので分解開始! 元々、各部オイル漏れも有りましたから、ちょうどいい時期だったのかもしれません。(と、思いましょう!)
 カムチェーンのトップアイドラーのセンターボルトが緩んで出てきています。 ここは、その後カシメの物に変更されています。 こういう事が多々有ったんでしょうね。
 
 カムシャフトを外してみると、メタルがぐしゃぐしゃです。 これは、長年放置してあった車両を急に無理やりエンジン始動したような感じです。 エンジンオイルも変な色に変わっているので内部は相当汚れていたのでしょうね。

 カムチェーントンネルのOリングとヘッドガスケットは純正では無く、ゴムがカチコチになっていたのでオイル漏れを起こしていました。 という事は少なくともヘッドは外したことのあるエンジンなんですね。

 ヘッドを確認します。 おかしなシムが入っています。

 ヘッドの内側にプライヤーでつまんだ様な?傷が付いています。 これは何でしょうかね??? メタルは全滅です。

 バルブステムシールはエキゾースト側が焼け焦げ状態です。 これはオイル下がりの原因です。 とは言えこれは距離を走ったエンジンでは極普通に起きる事なので、想定内ですね。

 インシュレーターの取り付けビスの頭が全て舐めてしまっています。 取るのが大変そうです。

 全ての部品を綺麗に洗いました。 そんなにもひどい感じがしませんね。

 ネジの腐食も無く、オイルパンも綺麗です。 クランク、ミッションもそんなにくたびれている感も無くそのまま使用できる状態です。 距離はあまり走っていないようです。

 綺麗に洗浄したヘッドですが、ヘッドを外した事がある理由を見つけました。 プラグを斜めにねじ込んだか何かで、リコイルを入れたようです。 ちょっと、短いので今回これは新しい物で入れ替えです。 バルブシートリングはシートカットした形跡が無いので、やはり走行距離は大した事が無いですね。

 どれも、バルブガイドはしっかりしています。クリアランスも問題なしです。 ですが、インシュレーターのビスは4本も折れました、、、、後がめんどくさいです、、、、

 カムチェーントンネルとタペットホール部の傷。 コレなんで付いたんでしょうね???
シリンダーの確認です。 フィンの欠けは溶接で直します。
 シリンダースリーブの内側は錆の痕と潤滑不良と思われる縦傷が全てに入っています。 やはり、無理やりエンジンを始動した後遺症と思われます。 これでエンジンオイルの消耗はバルブステムシールとシリンダーの傷が原因と解りました。(予想道理ですけどね!)

 その5に続きます。